【書評】これは役立つ「葬儀屋さん」の打ち明け話―知っておいて損はない、葬式あのことこのこと

【書評】これは役立つ「葬儀屋さん」の打ち明け話

私自身、身内の葬儀を何度も経験しましたが、なかなか事前に備えができないため、気が付くと高額な葬儀になってしまったり、手続きが煩雑になってしまったりしました。いつから準備を始めるというものでもないのですが(いつ死ぬかはわかりませんからね)できるだけ早い段階から、情報を得ておこうと思って始めた、終活読書です。

 

より良い葬儀屋・葬儀社を選ぶための知識武装

 

これは役立つ「葬儀屋さん」の打ち明け話―の著者、尾出さんは、現役の葬儀社をなさっていますので、その話には説得力があり、業界通だからこその、葬儀屋との付き合い方が参考になります。少し偏っているかもしれませんが、私が読んでいて、参考になった部分をいくらか引用しながらコメントをしていきます。

 

葬儀社へ生前の見積もりが増えている

 

「この先心配」型の内容がほとんど。同様に葬儀費用に関する心配も多く、今、数社の見積もりをとっていると正直におっしゃるお客様もいます。数年前に比べて、費用の相談を事前にしてくる方が多くなったようです。人によっては、あとは本人が亡くなるだけというところまで決めてしまうこともあり、通夜と葬儀、告別式の時間だけ、空欄にした見積もり書を要求してくることもあります。」(P27)

 

「ここ数年で葬式に関する話題がいろいろとマスコミで取り上げられ、生前に見積もりを取ったり、詳細を聞きに来られるお客様が増えました。読者のみなさんにもおすすめしたいことです。しかし現実にはまだまだ不謹慎だということで、そうなったときに考えればいいと思っている人が多いのも事実でしょう。」(P31)


 

葬儀などの費用は非常に高額になることがあり(200万近いこともあるそう)かなりの額の支払いになるのですが、亡くなった直後の混乱のさ中で、冷静な判断ができないまま、請求されるままに支払ってしまうという種類のトラブルが大変多いようです。昔ほど、生前見積もりや打ち合わせが、相応しくないことという風潮は無くなっています(近い将来には、必ず必要になるのですから準備しておかないほうがおかしいわけです)

 

ちょっと例がふさわしくないかもしれないけど、車を買うのと同じくらいお金がかかるのだから事前に、しっかり「準備」しておく、葬儀屋さんとコミュニケーションをとっておく、
それが正しい方法なのではないかと、私は思っています。今は、見積もりも、かなり、やりやすくなっているのではないでしょうか?

 

なかなか、今、亡くなりそうだ!というときになって、見積をとるのは不謹慎な感じがします。家族の意見もまとまっていなかったりするものです。生前の元気なうちに、事前に見積もっておくのは良い方法ですが、実は、私も試してみました。まだ元気ですが、80代の祖母のために、見積もりをとったのですが意外と簡単に備えができた!という印象があります

 

病院詰めの葬儀屋さんとのつきあいかた

 

「病院詰めの葬儀屋さんはあくまで病院から霊安室の管理を委託されているのであって、けっして指定業者ではありません。もし頼みにしている葬儀屋さんがいるなら、そのことをはっきり相手に伝えなければなりません。人によっては強引なことをいってくることもあり、不愉快にもなり、また金銭トラブルにもなりかねません。毅然とした態度をとることが必要でしょう。」(P32)

 

「病院からの搬送だけをお願いするのもひとつの方法です。葬儀を任せるかどうかは二の次に考えます。相手がどんな葬儀社で、どんな担当者なのかもわからないうちに決めるのは、得策ではありません。搬送だけを依頼したのに、納棺しないと運べませんと言われ、二十万もする棺を売りつけられた方もいます。・・・よほどの遠距離か、ご遺体の状況が思わしくない限り納棺する必要はありません。・・・搬送だけでひきとって貰えばいいのですから。このときに搬送料を現金払いすることが多いようです。・・・くれぐれも予算枠と自分たちの考えをしっかりともって臨んでください。」(P44)


 

今の時代、病院で亡くなることが圧倒的に多いものです。私の身内もほとんどが、最後はそうでした。家で看取るのは現実的には難しいものです。

 

そうなると、そのまま、病院にいる葬儀社さんが、遺体を斎場まで運ぶことがあります。もちろん、運んでくれるのはありがたいのですが、無料(タダ)ではありません。そのまま、コースに乗るかのように、葬儀一式までそこで頼んでしまうことにもなりかねません。著者も指摘しているように、病院に詰めている葬儀屋さんは、基本的に病院のおすすめまたは、必ずしも安い・良心的というものではありません。

 

自分が、こうしてほしいと思う葬儀の仕方があったり、費用を安く抑えたいと思って事前に相談している葬儀社があるならそのまま、病院詰めの葬儀屋さんにお願いするわけにはいかないわけです。

 

失敗談の類になると思うのですが、

 

個人でやっている小さな葬儀屋さんと事前に、打ち合わせておいたけれども、亡くなったその日には連絡がとれず(夜間に連絡をしたものの、出てもらえず・・・涙)、結局は病院詰めの葬儀屋さんに遺体の運搬や斎場の確保をお願いしたということで、そうなると事前の備えも・・・なんだかな??となってしまうわけですから、ある程度、組織だって24時間ちゃんと連絡がとれる葬儀社を自分で選定しておく必要があると思います。この本の中で、もっとも参考になった部分のひとつです。意外と、病院詰めの葬儀社さんと、自分で選ぼうとする葬儀社の間で、トラブルに成ることが多いと聞きます。上述の通りです。

 

 

お葬式は誰のためのものか

 

「よく身内でもめるのはこの点です。遺志を尊重してやろうとする喪主と、そうはいかないと反対するほかの遺族の確執は日常的なことです。」(P95)

 

「私は遺族には故人の人生にかかわった人全てに報せる務めがあると考えています。現実にそれは無理だとしても、努力はすべきです。故人の遺志はそれはそれとして
大事にしなければなりませんが、その遺志に拘束されて、本当に遺族がしてあげたい、しなければならないことを見失ってはならないと思います。」(P98)

 

「ひとりだけ家族と縁のない宗教を信心していたらどういうことになるでしょうか。・・・故人の信仰は残された家族の理解がなければ葬儀には反映されないということです。・・・もっとも無難なのは、先祖代々の宗旨に基づいて葬儀を出すことです・・・・くれぐれもはじまる寸前でもめないように、自分だけでなく周囲の人も納得が行くような葬儀を考えていただきたいものです。」(P116)


著者は、葬式は「故人」のためのものというよりも、遺された遺族や関係者のための儀式だと考えているようです。数千の葬儀を仕切ってきた経験から言うとそうなるのだと思います。故人の遺志がどうあれ、最後に式を行うのは遺族なので、生きている人の考え方が反映されるでしょう。私の意見は、この点、著者とは少し異なっています。

 

故人が明確な意志をもっていたなら、それを最大限反映するのは、故人を本当に偲ぶことであると、私は考えます。著者も触れている「信仰」についてですが、たとえば、先祖代々の宗教ではなく、自分で宗教を選んだ人の場合、明確な願いや意志、人生を賭した信条というものがあるはずで、それを見栄や親族のこだわりで代々の宗教の葬儀方法で行うというのはちょっとちがうかな?と思えます。

 

というのも、私が以前関わった葬式でしたが、ご本人は80代のおばあちゃんです。何十年も前に、キリスト教に改宗し、半生をその道で過ごしてこられました。最後には遺書があり、自分の「信仰」に沿って葬儀を行って欲しいという願いが書き記されていました。遺族の中では少しもめたようですが、結局は、この遺書が決め手になり、
ご本人の願い通りに行われたようです。もちろん、家族がどのように送りたいかということも考えるべきですが、本人の生き様にそった式にしたいというのも一つの真実ではないでしょうか。

 

著者が言うように、この点も生前からの話し合いが欠かせないですね。それは間違いないです。最後の最後に、そんなことでもめたくはないですし、家族で言い争いになるなら、それこそ、故人の遺志はどこに?という話ですよね。現実的には、葬儀の際に必ず問題になることなので、この点もよく話し合っておきたいです。

 

 

葬式費用一式とはどれくらいなのか

 

 

「お経を読んでいただくのも本来は御礼なのですが、ひとり一回いくらという世間相場があり、葬儀では十万円が妥当なところでしょうか。すると二日間にわたる葬儀の読経料は二十万となり一般に初七日で5万円くらいかかりますので、戒名をつけなくても二十五万はかかるということになります。そこに戒名の御礼二十万円が加わると合計で四十五万となり、半端なお金は包みにくいので五十万ということになるのです。」(P99)

 

「祭壇は白木祭壇で二十万円から五百万円までの差があるのです。棺は六万円のものもあれば、二百万円のものだってあるのです。・・・ちなみに、祭壇で四十万円、棺で十万円くらいが平均額です。」(P106)

 

「このほかに、会場費や設営費、仏具や備品、仮葬料金や車両関係費、遺影や礼状など必要不可欠なものを葬祭費一式と呼びます。小さな葬儀屋さんでは
これが葬儀一式の代金となります。」(P107)


仏式で葬式を行う場合ということになるのでしょうけれども、実際の事務的な手続き以上に・・・お布施の負担は大きなものに感じますね。また、相場がわからないことがストレスになっている様子は、よくQ&Aサイトで目にします。この辺、本当に「寄付」としての意味なのか、「料金」なのかが分からなければ、お互いにとってストレスになります。なんといっても定額のお布施というコースを謳う葬儀屋さんも登場しています。これが多くの人のニーズだったということは少なくとも分かる感じはします。

 

それが、本来の「お布施」の意味なのか?本当に仏式で葬式を上げる場合、ここまで割り切っていいのか?なんなら、もはや仏式で葬儀を上げる必要などないのではないか?とか、色々なことを考えてしまったりしますね。

 

それに加えて、祭壇や棺の値段も半端ではありません。だいぶ廉価なコースも登場してはいますが、全体的には高額ではないでしょうか。これに、料理や返礼品、接待費などがかさんでいくために、どうしても、葬儀のための金額は莫大にかさんでいくという傾向にあります。もちろん、これは従来の葬式ということで、現在はこの傾向は大いに変わりつつあるというのは間違いないことだと思います。

 

私もお葬式はシンプルであるべきだと思います。

 

 

遺体の保管場所という問題

 

「明らかに家につれて帰れないことが分かっている人は、すぐにあずかって欲しいと申し入れしてきますが、どうしたらいい分からない、どうしたいのかきまっていないなど保留型も多いのが現実です。一人が寝られるスペースがあれば狭くとも大丈夫と考えがちですが、実際には枕飾りを設置し、座布団一枚敷くスペースが必要です。また人が訪ねてくれば、居場所も確保しなくてはなりません。こういった住宅事情から、家に帰れないということになるわけです。」(P87)

 

「ご遺体をどこに安置するかという問題は即決しなければならないことなので、日頃から頭の片隅に置いていただきたいことです。」(P88)


 

これは私も調べる必要があり、けっこう調べました。現在の私の住まいでも、やはり、一時的にでも家に保管することは難しいです。アパート住まいですので、遺体を置く場所はともかくとして、そこに友人や、弔問客が来ることを考えると、近所に大いに迷惑をかけてしまいます。では、すぐに斎場など、場所を確保できるかというと
瞬間に(もう、亡くなった瞬間に)考えて決めるのは至難の技です。これは、前もって考えておくところだと思います。自宅に遺体を安置できないとしたら、どこで?この本の中では、色々な案が挙げられています。

 

 

「では、費用の面で自宅葬と会館葬ではどのくらい違うのでしょうか。まず第1に、自宅葬では会場使用料というものがかかりません。会館は経営母体により違いはありますが、おおよそ次のとおりです。なお料金は二日間にわたるものです。

 

・公共の集会所 5万円から10万円程度(無料もある)
・公共の火葬場の斎場 一万円以下(自治体によって差がある)
・民営の火葬場の斎場 10万円から20万円程度(90万まである)
・寺院の斎場 20万から50万程度
・葬儀社の斎場 無料から15万円程度

 

葬儀社の無料が目につきますが、ごく一部で営業戦略として存在します。しかし祭壇料に転嫁されていることもあり、タダより高いものはないといったところです。(P76)」


 

私の場合は、前もって見積もりを依頼した葬儀業者の提携している斎場をお願いしたいと思っています。一日あたり+5万円くらいを見れば良いようです。私が見積もりしたシンプルなお葬式プランでは、基本的な葬儀事務は14万8千円でしたが、斎場を借りるとさらに5万円、もし友引(*)などの日に当たる場合は、さらに一日余分に時間が必要ですから(こればかりは選べませんからね)

 

プラス10万を見ておくと25万円あたりで、葬儀費用を見ておくのが良さそうでした。けっこうな出費ですが、従来のお葬式を考えますと、これは超低価格のほうです。
一桁違いますからね。250万だったりしますよね・・・一昔前だと。

 

* 友引とは?

「じつは「友引」に葬儀を行う人はいません。なぜなら「友引」は火葬場が休みだからです。土日と祭日が休みというならば、わかりやすいのですが、未だに「友引」が休みなのです。・・・・葬式は前日の通夜と当日の葬儀・告別式とで成り立っていますので、このふたつを切り離して行われることはありません。つまり、葬儀・告別式ができない「友引」の前日は、通夜もできないと言うことです。このことは葬儀の打ち合わせをするときの基本になります。(P131)」

 

 

ヨシ・ノリハラの感想

 

業界の中の人の話が聞けるという面で大きなメリットがありました。葬儀業者の選び方など色々ノウハウがあるようですが、こういうのは、業者に関わりのある人に聞くのが絶対一番です。(色々な業界の友人がいますが、葬儀業はいません、だから本ですね)どこが、安いかという単純な比較ではなく、自分や家族が何を求めているのか?優先順位をしっかり定めた上で、葬儀屋選びに取り組むことを改めて学びました。

 

葬儀社・葬儀屋さんとの信頼関係を築く

 

「出された見積もり金額だけ見て高いと思う前に、いくらまで出す気持ちがあるか整理しておくことが大事だと思います。その範囲で正直に話して相談する相手が葬儀屋さんなのです。見積金額を値切れても、終わってみたらひどい葬儀だったでは、意味がありません。軽いジャブくらいで止めた方が賢明です。葬儀屋さんが気持ちよく応対できる環境を作ってください。」(P234)

 

「わからないからだまされているような錯覚にご遺族が陥ることも分かります。専門用語をまくしたて、そうしないとうまくいかないとか、格好が悪いなどと、葬儀屋にいわれて押し切られてしまうことがあるというのも事実です。打ち合わせが終わってから、冷静に考えたらこんなに払えない、とご遺族が気づき大幅に変更することもあります。・・・・なお見積に関しては、生前にじっくりと説明を受けることを、あらためておすすめします。」(P156-157)


 

著者は、葬儀屋さんそのものですから、若干、業者側の立場としてのコメントです。私たちは基本的に消費者ですから、その点、少し割り引いて考えなければなりませんが、基本的には、値段だけで決めるのは確かに勧めることはできません。いくら、割り切った考え方をしていても、人生の最後を締めくくる葬儀が、大変、良くない思い出で終わると、長く続く怨恨w となってしまうことがあります。それには気をつけなくてはなりませんね。現在は葬儀業者と事前に打ち合わせるのは、決して不思議なことでも変わったことでもありません。生前だからこそ、打ち合わせを細部まで話し合うことができますし、備えができるわけですから、ドタバタする前に、話し合っておきたいものです。以前にも関連書評でお読みになったかもしれませんが、

 

私は、実際に、自分の(自分の家族の)葬式の見積りをとって話し合いをしてみました。まあ、メールやり取りだけですので、詳しい点はもっと詰めなくてはなりませんが、選択肢が増えただけ・・安心感が増しました。

 

参考にしていただけると幸いです。

 

著者の尾出さんとはちょっと、私の意見は違うのですが、お葬式に何を求めるのか?ということになるのだと思います。著者いわく「究極のサービス業」である葬儀屋ですが、そこに儀礼要素を一切求めなければ大変シンプルなものになると思いますし、価格も抜群に下げられると思います。

 

 

書籍概要

 

書籍目次

第一章 葬儀の予約をする人たち
第二章 ご遺体と過ごす時間
第三章 高額なお布施のゆくえ
第四章 いまどきの宗旨
第五章 葬儀の見積もり
第六章 葬儀屋さんの職業病
第七章 葬儀業界のこれから
素朴な疑問にホンネで答える「葬儀Q&A」
1 葬儀屋さんの心当たりがないときは、どうしたらいいのですか?
2 葬式は家と会館(斎場)のどちらでやるほうがいいのでしょうか?
3 葬儀一式の予算とお布施の目安を教えて下さい
4 身内が亡くなったことは、どこまで知らせるべきでしょうか?
5 受付は誰にやってもらったらいいのでしょうか?段取りも教えて下さい。
6 香典のお返し(返礼品)の金額の目安はどれくらいでしょうか?
7 葬儀代、お布施、仏壇、墓などはいずれも高価です。仏壇は値切ってはいけないのですか?

 

豆知識:葬儀が増える時期

「毎年十二月から三月までの四ヶ月間は、そのほかの月に比べて亡くなる方の多い月です。
・・・この四ヶ月は繁忙期と言えます。年末から年始、そして桜が咲くころまでの忙しさと
いうのは半端ではありません。」(P206)

 

 

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葬儀屋さんと生前打ち合わせをしてみました。



 

これは、私の考えですが、葬式は儀礼を一切取り去り、
出来る限り「シンプル」にしたいと思っています。
私が実際に打ち合わせ、生前見積もりをした葬儀屋さんを
ご紹介いたします。メールのみでのやりとりも可能です。




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