【書評】ぼくが葬儀屋さんになった理由 冨安徳久

葬儀社のボッタクリ体質への憂い

このページは、下記書籍の書評の一部です。
【書評】ぼくが葬儀屋さんになった理由 冨安徳久

 

生活保護者の葬儀を断るという会社の方針にたてつき、会社との関係を悪化させてから著者は独立を真面目に考えるようになります。(「生活保護者の葬儀は儲からない!」に義憤。

 

一度、葬儀社を辞めることを考えるようになると、葬儀業界特有の「闇」に気がつくようになります。(それまでは、18歳でこの道に飛び込んでからプロとして邁進することに精一杯で、葬儀業界がどのように見られているのかをあまり意識しなかったのでしょう)

 

著者は、名古屋ですので、当時の名古屋の葬儀の平均は300万だったそうです。名古屋人は特に、そういう傾向がありますかね、偏見ですかね(笑)。最近の、葬儀平均額は130万くらいだったようですから、ずいぶん、葬儀業界のデフレが進んでいます。

 

これでも、私にとっては十分高いですが・・・・。

 


Black Sheep 1 / Ionics

 

実は、葬儀における、この価格、本当に適正なものだろうか?と著者は考えるようになります。事実、自分で葬儀社を立ち上げてからは、一般の葬儀会社の約半額で葬儀を行うようになったようです。当時、同業者からの嫌がらせや、陰湿ないじめなどを経験します。

 

話がそれましたが、葬儀が高額になる理由は、
喪主を始めとした遺族にほとんど知識が無い、お上りさんマーケットだからです。

 

この業界は何かが間違っているのではないか

 

葬儀社に言われるままにやったら高額になった
「遺族側の知識はほとんどなく、「世間一般の相場はどのくらい?」と聞いてくるのが精一杯である。・・・葬儀に関する知識も経験もない喪主には、そこに並んだものが、果たして高いのか、安いのか、自分たちにふさわしいものかどうか判断する基準がない。葬儀社にまかせておけばとりあえずは安心できる。仮に「高そうだな」と思っても、大事な家族の最期のセレモニーであり、費用をけちるなんて・・・と思うから、たいていは葬儀社のいいなりになってしまう。そして、終わってからいくらになりましたと請求書が届く。よく「葬儀社に言われるままにやったらこんなに高額になった」といった話を耳にするのは、そんなケースだ。」(P187-188)

 

この業界は何かが間違っているのではないか
「この業界は何かが間違っているのではないか・・・。そんなことを思い始めて業界を見回してみると、その会社に限ったことではなかった。すべてとは言わないけど、ほとんどの葬儀社が同じだった。どこも、より多くの利益が出る葬儀を優先し、顧客の求めているサービスとは何かについて考えることはなく、きまりきったスタイルで余計な手間はかけないのが当たり前、会社の規模が大きくなればなるほど、利益の少ない葬儀は相手にせず、利幅の大きい葬儀を優先する。」(P190)

 

葬儀社裏マニュアル
「今でこそ葬儀価格をオープンにして、予算に合わせて見積もりをとることもできるようになってきたが、この頃は葬儀の主導権は完全に葬儀社が握っていた。葬儀の依頼を受けた担当者がまず何をするかといえば、その家の門構えを見る。そして車を見る。立派な門があり、大型の高級車があれば合格。故人の生前の経歴を聞き、喪主の勤務先や役職を聞き、大手企業の管理職などであればなお良し、といった喪家をランク付けするような「裏マニュアル」さえ存在していた。」(P189)


数百万の買い物は小さいものではありません。たとえば高級車を買うつもりなら、何社にも見積もりをとり、条件を徹底的に詰めて、担当者との相性を確かめます。
しかし、葬儀となると、故人が亡くなった悲しみの中、数日以内にすべてを決定しなくてはならずに、気が付くと高額になっているという特殊性があるのです。

 

しかも物販のように定価や仕入れ値がある商売ではありません。いわば究極的にはサービス業です。祭壇なども、言ってみればレンタルですから、数回葬儀を行えば、簡単に元はとれてしまいます。担当者の考え方次第で、価格が倍になることすらあるわけです。

 

喪家のお財布を見てランクを判断する「裏マニュアル」の存在は恐ろしいものです。

 

以前、布団の飛び込みセールスをしている猛者が、相手との商談の中で、価格を自由に設定しているという話を聞いたことがあります。これは中東を旅すると、経験するかもしれません。出来る限りぼったくろうとしてきますよね。

 

実は葬儀業界も同じような傾向があったわけです。閉鎖的なマーケットは確かに問題です。(近年では、イオンのお葬式やシンプルなお葬式などのマッチングサービスの登場により、葬式のプランの透明化・パッケージ化・デフレが進んでいます)

 

昨今、ぼったくりの葬儀社批判は非常に多いですが、一概に葬儀業界だけを批判するわけにはいきません。著者もその点を嘆いています。

 

葬儀業に対する偏見や無知が今でも根強く、ちゃんと葬儀に関して話あいをする人が多くありません。葬儀業界が、閉鎖的なマーケットになっている、ひとつの要因は、消費者の側の無知です。何にどれくらいの費用がかかるかを事前に調べておく、または、医療におけるセカンドオピニオンのように複数の意見を聞く(見積もりを取る)ことで、「適正な価格」を知ることができます。競争の無い一社の見積もりだけなら(見積も出さない業者も存在したようですが)どうしても、言い値になってしまいます。
市場競争が無いというのは怖いことだと感じます。

 

前述のように、葬儀社にとっては、急激なデフレで、儲からない商売になってきつつあるわけですが、消費者がきちんとリードをとるスタイルは、あるべき市場の姿だと思います。だんだん市場としては健全になっているのかもしれませんね。

 

私が作っているこのようなサイトも、いざそのとき、ではなく事前にできることを調べておこうという気持ちから出ていますし、その結果として、多くの知識が増えて、
自分の理想の葬儀を行える体勢を自分で整えることができています。親の世代から見ると、このサイトでさえ、不謹慎に見えるようですが・・・(汗)

 

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