【書評】ぼくが葬儀屋さんになった理由 冨安徳久

「生活保護者の葬儀は儲からない!」に義憤。

このページは、下記書籍の書評の一部です。
【書評】ぼくが葬儀屋さんになった理由 冨安徳久

 

本書には、ところどころ感動的なエピソードが書かれています。

 

とりわけ、著者が病院営業を行っていたときに、知り合った婦長さんご夫婦との関係は心あたたまるものがありました。最初は、一社独占で理事長の親戚の葬儀社に牛耳られていた病院でしたが、著者が足繁く通い、霊安室を掃除して帰ってくる地道な営業努力を続けるうちに、婦長さんが仕事を回してくれるようになります。

 


Mrs. Rook, new nurse / The Library of Virginia

 

ネタバレになりますが、実は、この婦長さん、後にガンで亡くなってしまうのですが、著者に向けて書いた遺言状が発見されます。著者の、陰ながらの働きや理念を評価して、病院の葬儀をまかせていたたことがわかります。

 

一部抜粋します(全文は感動的な文章です)

 

 

「患者さんの中には生活保護を受けておられる方や経済的に困窮している方もおります。そのために病院にもソーシャルワーカーがいて、ご相談に乗っております。そんな方がなくなると、ほかの葬儀社だと、「それは役所に言ってくれ」とか「個人葬儀社に任せるといい」とか言って、受けてくれませんでした。富安様が出入りするようになってから、損してでもやってくださっています。会社はきっと儲からないから富安様を責めるようなこともあって、店長として辛い立場におなりでしょう。」(P177)

 

「遺言状に書いてあるとおり、指定業者たちは生活保護の人がなくなると、「役所に連絡してください」と言って逃げるのであった。我が社も例外ではなく、そうした方針があった。あまりそういうのは受けるなと言われており、売上の大きい店長の中には受けるのをやめてしまった者もいた。しかし、私はそうした人助けをしないでなにが葬儀屋だと思っていたので、かまわず受けていた。」(P178)


 

感動的なエピソードは、本書に譲るとして興味深いのは、

 

生活保護者の葬儀に関する、葬儀社各社のスタンスです。

 

著者は、理念をもって、人の立場や背景で、人の死を差別しない葬儀を行い続けていました。実は、当時は、こういう葬儀社は少なかったわけです。やがて、著者の会社にも転機が訪れます。新年度の会社の方針を打ち出される店長会議の場にて、生活保護者の葬儀に関しては、今後は扱わず、病院から自宅への搬送料だけをもらって、他の葬儀社に回すことになったわけです。

 

著者は、この方針に表立って、何度も反対します。人の死を差別することは許されない!という熱い思いをぶつけ続けますが、利益優先のビジネスモデルの中では、著者の意見はだんだん通らなくなります。ここがサラリーマンの辛いところです。

 

著者は、他の葬儀社は、どういう対応なのだろうかと思い、各社へ一般人を装って電話をかけますが、どこもだいたい同じ対応。こうなると、どこへ転職しても、同じジレンマを抱えることになると悟ります。これが、直接的には、独立を考え始めるようになったきっかけです。

 

やがて、著者は雇い人としての葬儀社に限界を感じ、自分の理想の葬儀を行える会館を建設するようになっていきます。著者のサクセスストーリーは別にしても、葬儀屋の現実、裏話を知ることができました。生活保護者の葬儀に関して、著者はこう述べています。

 

 

「生活保護を受けている人が亡くなると、自治体から二十万前後の葬儀費用(自治体によって異なる)が支給される。引き受けた葬儀社はその金額で葬儀を行うことになっている。確かに葬儀社にとっては、あまり利益の出ない仕事である。

 

しかし、病院側が患者の経済状態を考慮して葬儀会社を選ぶということはありえない。指定葬儀社に順番で連絡しているだけのことである。私たちは病院の依頼を受けて、自宅まで搬送して初めて、実は高齢の夫婦二人暮らしだった、あるいはひとり暮らしで生活保護を受けていたことがわかる。この新方針では、それを承知で「搬送料だけいただいて葬儀を受けずに帰って来い」と言っているわけだ。」(P180-181)


 

著者の時代の葬儀は平均300万前後だったそうですが、生活保護者の葬儀は、とても葬儀社としても利益の出ないものだったようです。同じ手間が求められて、なおかつ十分の一以下のお金しか受け取ることができない。これは、葬儀社にとっては、美味しくない仕事なのです。現実に、今でも大手の葬儀社は、生活保護者の葬儀を断るとも聞くことがあります。

 

病院から自宅への搬送料金だけでも3万〜5万かかるわけですが、
自宅に安置されて、そこで放り投げられて、自分で葬儀社を探してくださいと言われる
遺族の気持になると辛いものがあります。

 

そこから自分で葬儀社を探し出さないと行けないのはとても困難です。とりわけ、お年寄りの遺族ですと、インターネットもあまり使えないかもしれない、タウンページを頼りに、有名な葬儀社に電話しても、どこでも、冷たい扱いを受けて(お金にならない人は、客ではない?)故人を亡くした痛みと共に、商業主義の冷たさを感じるでしょう。

 

私の提案は、シンプルなお葬式のような、もともと安い・簡素な20万以内(自治体からの葬祭支給費)で収まるような葬儀屋さんと事前に連携しておくことです。
もともと15万円くらいのパッケージがありますので(搬送料金も込みです)、嫌な思いをしなくてすみます。

 

「生活保護者の葬儀は儲からない!」に義憤。

 

ちなみに、もっとも安いプランの火葬式で行われることになりますが、他の価格帯は使えません。といっても、通夜や告別式が行われないということなので、それは何が何でも仏式で行おうとしなくても良いのでは無いでしょうか。私は生活保護ではありませんが、基本的に葬儀は「直葬」をベースにした、シンプルなものを考えています。
その流れは、以下の記事を参考にしていただけると思います。
ボクのお葬式-直葬の流れ

 

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これは、私の考えですが、葬式は儀礼を一切取り去り、
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