【書評】ぼくが葬儀屋さんになった理由 冨安徳久

【書評】ぼくが葬儀屋さんになった理由 冨安徳久

ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)

 

目次

第1章 十八歳で“天職”に出会う(破談/なぜ勉強しろって言わないの? ほか)/第2章 遺族の悲しみに寄り添う(初めて遺体と接触/担当を替えてくれ! ほか)/第3章 命の尊厳に触れる(故郷、愛知県一宮に帰る/警察の指定葬儀社 ほか)/第4章 理想の“お見送り”を求めて(セレモニー・ハンター/応援してくれた婦長さん ほか)/第5章 葬儀ビジネスに新しい風を!(天の配剤としか思えない/組織があれば理念などいらない? ほか)

 

心のこもった「お見送り」をするための葬儀社、ティアを興した冨安さんの自伝的、葬儀業界の裏話です。ライターが執筆協力していることもあり、

 

全編を一気に読み通せるような力のある文章・ストーリーテリングに心を打たれます。

 

著者の生き様、熱い誇り、葬儀を通して生き方を真剣に考える姿勢に打たれて、思わず葬儀業界を目指してしまいそうになります(笑)。

 

一部では、著者があまりに自分をよく見せているとか、フィクションであるとか、批判もあるようですが、そうした点を差し引いても、本としての出来は素晴らしく、
葬儀に対する熱い思いと同時に、業界の裏側を知ることができる良書です。

 

著者は、18歳でバイトで入社した葬儀会社に魅せられ、葬儀を天職だと信じ、大学をやめてしまいます。そして、ひたすら葬儀マンとして走り続けてきますが、
最初に彼を指導してくれた先輩の教えを守り、そして、その先輩に向けたメッセージとして、この本を書き記したようです。

 

葬儀マンとしての誇りに満ちた先輩

藤田先輩は、著者に次のように、葬儀という仕事を教え込みます。

 

 

「葬儀は一つ一つみな違うんだぞ。亡くなられた一人ひとりの人生があるんだよ。それを知ることによって自分の目じゃなく、親族の目で故人を眺められるようになるんだ。そのために、アルバムを見せてもらったり、親族に故人の生前の話を聞くとかすることが大切なんだ」(そのとおりだ!)と思った。故人についてなんにも知らなくても、葬儀の施工になんら差支えはないけれど、それでは心の通ったお見送りができないではないか。」(P62)

 

あるときには腐敗した死体を処理しなければならなくなり、吐き気を催すような現場で、先輩に叱咤された時のエピソードが載っています。

 

「おまえ、気持ちが悪いのか?耐えられないか。触りたくもないか・・・。でもな、おまえ、この仕事やっていくって決めたんだろ。これもおまえが選んだ仕事の1つだ。通夜や司会のようなきれいなことだけが仕事じゃないぞ。人の嫌がることや面倒な仕事にちゃんと向き合えるような人間こそがお客様に心から感謝されるんだ。おまえいつも、人さまに感謝されるのがうれしいって言っていたじゃないか。きれいごとだけで心から人に感謝されると思っているのか!」(77-78)

 

「仏さんを自分の最愛の人と思うんだ。自分の最愛の人が亡くなったと思ってやれ!おまえは自分の目で見ているからそれができないんだ。おれは遺族の目で、その心で仏さんを見ている。おれはいつもそうしているから、どんな遺体を見ても嫌なものとは思わない。」(P78)


しびれる言葉です。

 

この出来事をきっかけにして、著者は、死体を気持ち悪いとは思わなくなります。葬儀に携わる人、心をこめてこの仕事に取り組めば、人間的に成長する素晴らしい仕事だと思えるようになります。

 

以下ネタバレですが、この先輩は、がんで亡くなってしまいます。著者は、別の場所で葬祭業を営んでおり、2年後に先輩の死去を知ります。この先輩へのオマージュという色合いをつよくして本書は書かれています。そこに感動させる要素がドラマチックに織り込まれているのだと思います。

 

著者が、偏見の目で見られることの多い葬儀業を、
本当に誇りをもって行っていることをはっきり理解できる良書でした。

 

実は読んでいて、何度か感動してしまいました(涙)

 

葬儀屋さんの裏話を知るためにも良いのですが、ひとつの成功ノウハウ・自伝だと思って読むと面白いと思います。

 

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冨安 徳久

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