【書評】しがみつかない死に方(香山リカ)

【書評】しがみつかない死に方-香山リカ

しがみつかない死に方 ――孤独死時代を豊かに生きるヒント 角川oneテーマ21

【しがみつかない死に方-目次】
第1章 孤独死恐怖症候群
第2章 「ひとりで死ぬ」という現実
第3章 遺品の行方
第4章 「別れ方」にしばられない
第5章 「死に方」にしがみつかない
第6章 「伝え方」に悩まない
第7章 「死後の準備」にとらわれない

 

冒頭から、著者は、身近で孤独死した人の名前を挙げていきます。井田真木子さん、ナンシー関さん、大原麗子さん、著者が第一発見者となった「友人」
そして、この本を書くきっかけになった「島村麻里」さん。島村麻里さんに関しては、とりわけ何章にもわたり言及しています。

 

著者は精神科医ですが、飯島愛さんの「孤独死」の報道から、目立って精神科を受信する女性たちが増えているそうです。孤独死不安恐怖症とでも言えるような人が増えているのだそうです。「孤独死」は、すでに死んでしまった人にとっては、何も問題になりません。自分はわからないわけだし。でも、死んでからの評判を気にかけることは、この時代の新たな種類の不安なのかもしれません。

 

著者のもとにやってきた患者の一人が、「どんなに素晴らしい業績を残しても、孤独死したらすべて無駄になる。」そう発言したことにショックを受けた著者は、この問題に正面から向き合うことに決めます。

 

「死に方」は「生き方」を否定するだけのものなのだろうか?どのように死ねば、本当に価値ある「生」だったといえるのか?著者は、さまざまな観点から、そして生と死に関わるさまざまな専門家へインタビューしながら、本質に迫っていきます。

 

ちなみに著者は、「ハッピー孤独死マニュアル」なる勉強会を開いて、生や死に向かい合う活動を続けています。過去の勉強会の講師の顔ぶれなどを見ますと、まさにTHE・終活という感じで、現在の私の興味分野・勉強している分野とピッタリです。

 

ハッピー孤独死マニュアル

第1弾 講師/神林広恵(「噂の真相」元編集者) テーマ/飯島愛は幸せだったのか?
第2弾 講師/吉田太一(「遺品整理屋」キーパーズ社長) テーマ/天国へのお引っ越し、手伝います!
第3弾  講師/NPO法人SSSネットワーク代表 松原惇子 テーマ/「おひとりさま」の理想と現実、教えます。
第4弾 講師/日本尊厳死協会副理事長 松根敦子 テーマ/ひとりだって自分らしく世を去りたい!
第5弾 講師/NP少額短期保険株式会社代表 倉田琢自 テーマ/孤独死の沙汰も金次第!?
第6弾 講師/行政書士 本田桂子 テーマ/〜その死に方は迷惑です!?〜生前契約のススメ
第7弾 講師/僧医 対本宗訓 テーマ/最後の頼みは医療か宗教か!?
番外編講師/NPO法人SSSネットワーク代表 松原惇子 〜上映会『私の葬送日記』(約80分)

 

まさにこのプロジェクトとリンクした形になっているのが、本書です。

 

映画でもモンスターの正体がわからない時が、一番こわいものです。ジョーズのように、全貌がわからないからこそ、怖い。全部出てきてしまうと、一気に怖さは半減します。だからこそ、生と死が関わりあう領域すべてをとことん、掘り下げてしまおう!その試みが、本書なのだと私は解釈しました。遺品整理から、葬儀、遺言、延命治療、と話は進みます。全貌が見えれば見えるほど、「その時」への恐怖は少なくなります。

 

最終的に著者が言いたかったことは、1つだけです。

 

孤独死は悲惨なのか

 

「声を大にして言いたいのは、その時やその後の状況や状態について、「幸せだった」とか「悲惨だった」とか何かの価値観を持ち込んで「判定」しようとするのは、大きな間違いではないだろうかということだ。」(P173)

 

「そいつは誰にもわからないのだ。だから、今はそれぞれが自分でできる、あるいは自分がしたい何かをすればいい。それが「いざというときの準備」であっても良いのだが、できれば「恋をしよう」とは言わないが、それにまさるとも劣らないことをしたいし、してほしい。私はそう思っているし、そうするつもりである。」(P177)

 

「死に方なんて、その人とは何の関係もない。死に方にしがみつくなは、やめておこう。完全にやめられなくても、なるべくやめておこう。なるべくやめるのも無理でも、「やめよう」と思うことはやめずにいよう。孤独死を恐れるすべての人に、私はそう伝えたい。」(P183)


 

Amazonのレビューを見ると、結局、まとまりがないとか、不安は払拭されなかったとか、あまり良くは無いのです。しかし、私は著者の試みを評価したいと思います。
単なる「終活」ではなく、「終活」と言われる分野を俯瞰した上で、そんなこと考えてもしょうがないじゃん!と一蹴するのです。今までに無い種類の終活本で、斜め上の視点が面白いです。

 

各章で掘り下げている論題は参考になりましたが、とりわけ、第4章 「別れ方」にしばられない の葬儀に関する項が、もっとも興味深かったです。

 

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香山 リカ

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