【書評】死ぬ前に決めておくこと―葬儀・お墓と生前契約

遺骨処理のために「墓」は本当に必要か

葬送の習慣には、異様にお金がかかるものが多いのですが「墓」もそうです。

 

著者は、そもそも遺骨の処理に「墓」が必要なのか?という観点から、この問題に鋭く迫ります。この本の中でもとりわけ、示唆にとむ部分だったように思いました。唯物論的に考えて、遺骨の処理は何がしかの形で行わなければならないと普通は考えます。しかし、法的に言えば、火葬するか土葬するかが問題であって、遺骨の処理は、実はかなりの自由度があることを初めて知りました。

 

 

「死体を土葬も火葬もしないで放置したら、墓埋法以外の法律、たとえば刑法190条の死体遺棄罪などにより処罰される。しかし、火葬後の焼骨は、自分の住居に何年何十年そのままにしておいても、何の咎めもない。」「遺体処理のために墓は本当に必要かあらためて考えてみよう。遺体の放置はまずいので、火葬まではしなくてはならない。」(P30)


この前提の上で、著者は、いくつかのプランを説明しています。

 

僧侶ですから、信仰心が無いわけではなく、故人を悼むことはもちろんですが骨は骨とみなして、それをどう処理するかという問題に絞った発言です。(感情的な批判を浴びるのではないかと思いますが、著者は大変冷静で合理的です)

 

1)火葬場から拾骨して、自宅に骨壷のまま置いておく
2)火葬場で処理してもらう
3)還骨する(散骨)

 

結局、このうちどの方法でも、違法ではないし、だれに迷惑をかけるでも無いのだそうです。これは目からウロコでした。日本人にはかなり、抵抗があるかもしれませんが、
焼骨をそのまま火葬場で処理してもらうことに関してのコメントを紹介します。これには、なるほどな!!と唸ってしまいました。

 

 

「最近では、焼骨を火葬場で処理してくださいとお願いすると、一筆書けばOKと引き受けてくれる火葬場が徐々に増えている。・・・収骨(骨揚げ)というのは日本の葬送習俗として定着しているので、収骨を法が規定していると勘違いしがちだが、そうではない。火葬場としても、火葬したらその焼骨を持ち帰らなければならないという規定がない以上、無理に持ち帰らせるわけにはいかない、ということのようである。つまり、墓埋法では「葬」には埋葬と火葬しかない。」(P31-32)

 

「私は「焼骨唯物説」である。なぜならば、近代的火葬炉で火葬されて残った骨には、個人識別要素はまったくなく、生物体の個体性を立証する最後の砦たるDNAすら喪失しているからである。」(P42)

 

「やたらに撒くより、骨粉(粒)にするなどのわずらわしさからも解放されるという点で、火葬場にすべての焼骨の処分を託す手法が優れている。(P43)」

 

「以上のような観点で考えれば、少なくとも死体の最終処分機能としてのお墓は、作りたくなければ作らなくてもすむということになる。」(P33)


もっとも著者は、還骨派で、自然に返す方法を模索しておられるようですが散骨もお金をかけて大々的にやるのではなく、土や砂と撹拌してまぶして埋めればそれで良いと説いています。もちろん、人骨を見分けられる状態で埋めるのはNGです。ですから散骨の場合は、遺骨を細かく砕く必要があります。

 

もし、どこかに撒いてもらう(散骨)にロマン的な意味を求めず、お墓に入るのはお金がかかるので、墓を持たず、骨を処分したい(言い方は悪いですが)そのように考える場合には、そもそも火葬場でそのまま焼いてもらうとよいと言います。今ではよく知られていることですが、最期の骨揚げをするために、火葬場では、温度を調節しながら、骨が適度に残るように焼いているそうです。(つまり、儀式的な意味で、最期に骨を拾うわけですね)

 

そうだとすると、全く合理的な考え方としては、

 

そのまま・・・拾わずに帰る・・。

 

ここまで合理的な思考に面したのは、私も初めてですので少し驚きました。

 

「え〜、それはさすがにな〜」とか思っちゃうのですが、よく考えてみると、お墓にも、骨にも特別な意味を持たせないのであればそもそも、火葬場で焼いてもらうだけで、葬儀は完結するはずです。本当に、合理的であるというのはこういうことだと気付かされます。(ここまで割り切って考えられる人は少なく感じますが)散骨に関しても、同様の視点で、著者は頁数を割いて論じていますが、全く正しい意見です。

 

「葬式は、要らない」の島田氏は東日本と、西日本の火葬場の違いについて説明しています。

 

「東日本の方はご存じないと思いますが、東日本の火葬では、焼骨をすべて骨壷に入れて返す「全骨収納」が一般的です。それに対して、西日本では、一部の焼骨しか引き取らない「部分収骨」が一般的になっています。・・・大阪などでは、喉仏だけを入れるさらに小さな骨壷も使われています。喉仏はそれに入れ、小さな骨壷には頭蓋骨など主だった骨だけを入れるのです。残りは火葬所の方で処分します。」(P119)

 

 

最近では、遺骨を引き取らない遺族も増えているそうです。

 

「火葬の後、遺族が『供養費は出すから、そちらで何とかして』と遺骨の持ち帰りを拒否するケースが増えています。かつてはゼロに近かったが、今では年間200体ほどに上ります」
※週刊ポスト2010年12月17日号

 

散骨について、しっかり取り上げる際には、再度、この本をよく勉強しようと思います。

 

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