【書評】死ぬ前に決めておくこと―葬儀・お墓と生前契約

【書評】死ぬ前に決めておくこと―生前契約

死ぬ前に決めておくこと―葬儀・お墓と生前契約 (岩波アクティブ新書)

 

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 現代の死の風景(現代「往生」考/葬送支援一一〇番から見えた死の風景 ほか)/
2 現代のお墓事情(一人で入るお墓/遺体の処理場としての墓 ほか)/
3 人の死後にしなければならないこと(多様化した死後事務/からだの後始末 ほか)/
4 遺言は公正証書で(公正証書と私署証書/遺言の意味 ほか)/
5 生前契約のしくみ(生前契約のおいたち/生前契約でできること ほか)

 

誰しも、いつ死ぬかわかりませんから、備えは事前からしておくべきです、それが私の持論です。そんななかで、ふとしたことから「生前契約」を知りました。死後の事務から葬儀まで、まるで家族のように、すべてを代行してくれるサービスを提供しているNPOなのですが(営利事業では無いそうです)

 

生前契約 NPOりすシステム

 

この団体を立ち上げた、著者の松島さんは「僧侶」なのだそうですが、

「私は20歳で出家得度したものの、何度かのチャンスを逃し、職業としての僧侶となることを放棄したが・・・」(P6)

 

私のイメージする・・僧侶(いわゆる葬式仏教)とは大きく違いました。その発想の根底にある「合理的」な考え方や、現実をしっかり見据えている感覚は、私としても大いに学ぶものがありました。発行年は少し古いものの、内容は一切古くなっていません。

 

著者のNPOが年末からお正月をはさむ一ヶ月間24時間体勢で葬送に関するあらゆる相談を受けた記録が報告されているのですが、まさに、こういうことが、これから葬儀を考えるにあたって扱っていかなければいけないんだと参考になります。

 

ちなみに、相談数ランキングは以下のようになったそうです。

 

1位 生前契約についての相談
2位 自分らしい葬儀(特に何もしない葬儀)の相談
3位 墓に関する相談
4位 寺に対する不満・苦情
5位 遺言や相続について
6位 葬儀の費用に関して
7位 散骨について

 

*1ヶ月で646件の相談を受けたそうです。

 

 

私も、葬儀・相続に関する情報を自前で集めながら、サイトにまとめていますが、人生の終焉を迎えるに当たり、しっかり向き合って、こうした質問についても答えられるように考えておきたいと思っています。

 

さて、この本の後半は、著者の関わる「生前契約」というシステムの宣伝(啓発)となっていますが、そのシステムを生み出すに当たり、現在の葬送に関して「合理的な視点」で物事を見ているというのがもっとも参考になります。

 

ヨシ・ノリハラの感想

 

何を持って「葬儀」というのか、その定義は、著者と私は殆ど同じでした。私も葬儀から儀礼や儀式的なものをすべて取り払った上で、死後に関わる事柄を出来る限りシンプルにするための方法を考えています。この本の序章に出てくるこの考え方です。

 

 

「(葬儀をしない葬儀)とは、このようなセレモニー性を拒絶し、変革した上で、人の死後事務を考えようという発想である。・・・あえて自画自賛するが、前段の葬儀が葬儀のすべてではなく、人が死ねば必ずしなければならないこと、すなわち遺体の処理、生活をしていた「場」の後始末、死亡届に始まる諸所の法律上の手続き、これらこそが「葬儀」の基本で原点だ・・」(P21)


私は、できるならミニマリストとして、徹底的にシンプルな生き方をしたいと願っているわけですが、生前はシンプルに生きるものの、葬儀やその後は、ゴテゴテにお金がかかり、手間をかけて、家族を疲弊させるのは本望ではありません。

 

仏式の葬儀も、由来をたどっていくと、決して本来の意味での宗教的な儀式ではなく金儲けのための式典と化しています。しっかり、自分の意思を、もち最期まで自分の人生を生きるために、死後のあり方を考えるのは良いことでしょう。著者はこの点を「死者の人権」と述べています。私は、葬送に関しての「自分の」希望をまとめたサイトを作っていますが公正証書の使用や、生前契約なども含め、本当に自分の考えをちゃんと、実行できる(してもらう)ための法的な知識、情報は本当にかかせないと感じました。この面で、大変、役だった本です。今回、少しく引用しながら、コメントした箇所は、この本の中の僅かな部分ですが、終活をまともに考えるためには合理的な思考、確かな知識が必要であることをしっかり思い知りました。折にふれて読み返したい本です。ぜひ、終活に励む方には、入手されることをお勧めします。

 

死ぬ前に決めておくこと―葬儀・お墓と生前契約 (岩波アクティブ新書)死ぬ前に決めておくこと―葬儀・お墓と生前契約 (岩波アクティブ新書)
松島 如戒

岩波書店 2002-03-05
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