【書評】「葬儀」という仕事(小林和登)

葬儀屋さんの病院営業の実態

このページは下記書評の一部です
「葬儀」という仕事

 

著者は大手の葬儀屋さんに務めていましたので、病院営業の実績を積んでいきます。ここらへんは、ティアの冨安さんと似た感じもあります。(書評-僕が葬儀屋さんになった理由)。大手だと、病院営業は欠かせないのでしょう。冨安さんの書籍では、病院をどう攻略していったかという興味深い話が満載ですが、こちらは、病院付きの葬儀社として、お客さんをどのように口説き落としていったかというテクニックが載せられています。一読して、さすがだなぁと思いました。

 

病院で紹介される葬儀屋さんのマル秘テクニック

 

「普通の社員で1つの病院からの受注率は、だいたい死亡される患者さんの20%以下というのが平均でした。しかし、私は、その倍、40%の受注率を保っていたのです。すでに依頼する葬儀社がきまっているという場合でも、簡単に引き下がらずにそれをひっくり返してきたからです。けっして無理矢理ではなく、自然な形で私たちに頼もうかなと思っていただけるようにしていく。私はその技術を磨いてきたのです。」(P107)


著者は、すでに葬儀屋さんを手配していると言われても慌てません。雑談から入り、だんだんと、信頼を得ていきます。葬儀のことを色々と尋ねられるようになると、もうしめたものなのだとか。「なかなか葬儀屋さんが来ませんね、すぐに運べる車で来ていますので、搬送だけいたしましょうか」と持ちかけるのだそうです。遺族は、専門知識があり、色々と話し合いに応じてくれる葬儀屋さんをすっかり信頼し、そのまま搬送→葬儀へと進むのだそうです。

 

このテクニックに関してはまるで、詐欺的なところはありません。専門家としての知識や、著者の「人間力」の高さもよくわかります。普通の営業もそうなのかもしれませんが、お客さんも、絶対にここに!と決めているわけではないのかもしれません。もっと信頼できる人がいれば、乗り換えても良いと思っているのです。事実著者が手がけたお客さんは、ほとんど、著者に大変感謝していたようです。担当者として、満足を与えるプロだったことは読み取れます。

 

ただ、この頃の著者は悪どいテクニックを使っており、信頼に乗じてこんなことやっていたんか?と思うと、このテクニックも白々しくは感じるのです。(まるで悪徳業者?葬儀屋さんの手口

 

冨安さんの本でも、出てきましたが、葬儀社にとって病院を開拓すること、パイプを持つことは大きな生命線になります。そのためには、やはり「カネ」と「コネ」が蠢きます。著者もこのへんのドロドロしたところを知り尽くしています。

 

葬儀屋さんと病院の癒着??

 

「私が最初にお世話になったK典では、100床ほどのベッド数を持つ私立病院と提携していたのですが、社長はその病院に年間300万ほどの寄付をしていると言っていました。その他にも6000万ほどする検診バスを買ったと話していた記憶があります。・・・こう考えると、やっぱり効力を発揮するのはお金ということになります。・・・私立の病院では、だいたいベッド1つに対して三万円が相場ともいわれています。ベッド数が200床なら600万ということです。病院によっては、そのほかに紹介料という名目で死者1人に対して3万円のバックマージンを要求するところもあります。」(P118)


他に、ある私立大学では「1億5000万の寄付で一発で出入り業者にしてやる」と言われた話や、大物政治家への献金で病院の紹介業者に入り込んでいる例。一度、病院の紹介業者になっても、優先的に仕事が来るとは限らないので、事務長を口説き落とすためにプレゼント攻勢をした話などが登場します。ナースステーションにおみやげを持って行ったり、病院内のイベントに景品を提供していくことは日常茶飯事だそうです。

 

ある葬儀社は、事務長にベンツをプレゼントしたそうです。むろん、そのまま渡すと賄賂になるので、自腹でベンツを買い、事務長に1000円で売ったというのです。ほんと、賄賂ですよね(苦笑)

 

ここまでするのには理由があるわけですよね、病院と絡んでいれば、いわば遺体が落ちてくるわけですから、営業努力をしなくても良いわけです。以前の記事で私が「ハイエナ」のようだといったのはそのためです。(ハイエナのようだ

 

問題は、こうした接待、賄賂が、葬儀社の費用にそのまま反映されてしまうことです。著者は、長い葬儀マンとしての経験を積み、やがて、このことに気付き始めます(やっと気がついたんかい!とツッコミたいです)

 

営業費に割を食う消費者たち

 

「問題は、こうした寄付金や接待につかったお金が葬儀の価格に反映されている、という事実なのです。S社に勤めていた頃の私は、そんなところまで気が回らず、自社のパンフレットの価格形態にしたがって葬儀の料金を決め、しかもなんとか相手を納得させながらより豪華な、つまり効果なものにランクアップしてもらうことに葬儀マンとしての、仕事のやり甲斐や達成感を感じていたのです。いま思うと恥ずかしい限りですが、自分が変わるためにはその道もまた経なければいけない段階だったのに違いないとも思います。」(P126)


当然、葬儀屋は、お金を回収していかねばなりませんから、強引にも営業を仕掛け、さらに高額な式を取り決めようとしていきます。これは病院との癒着を考えると、しょうがないことなのかもしれませんが、消費者にとってはいたって迷惑な話です。

 

私は、きっと病院で死にますので(涙)、その後、病院で紹介される葬儀社は使わないように、今から準備を重ねております。なんちゅ〜準備なんじゃい。(病院で紹介してもらった葬儀屋さんを使うべきか

 

あわせて読みたい

葬儀屋さんと生前打ち合わせをしてみました。



 

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