【書評】「葬儀」という仕事(小林和登)

まるで悪徳業者?葬儀屋さんの手口

このページは下記書評の一部です
「葬儀」という仕事

 

この項目は、本書の中でももっともキモになる部分なのかもしれません。
もはや「詐欺」??

 


母さん、心配だ! / Ogiyoshisan

 

著者が、どのように、葬儀の価格を釣り上げていったかが書かれていますが、少し引いちゃうくらいです。ここまで暴露して大丈夫か?現在は自分で葬儀屋をやっているのですから、こういうことを書くと信頼を貶めちゃうんじゃないの?もともとの人間性大丈夫?ってこっちが心配しちゃうくらいなんです。ともあれ、そこが、この本の魅力なのだろうし、こういう内幕をしった上で、適正に葬儀屋さんと付き合ってほしいという著者の思いなのでしょう。このへんは何度も述べていますが「僕が葬儀屋さんになった理由」では一切触れられていない部分(他の業者はひどかったみたいなくだりがあるくらい)です。

 

でも現実は、こうなんだろうなって。

 

葬家の無知につけこむ営業トーク

 

「私がつかっていた手法のひとつに、パンフレットの価格表を自分でつくり直しておくという方法がありました。価格の倍にしておくのです。20万円の祭壇あら40万円、50万円のものなら100万円という具合です。まずこの価格表を遺族の方に見せるのです。するとこの値段が交渉の基準の価格になっていきます。・・・こういうことができたのも、葬儀社に規制がないということ以上に、多くの遺族の方たちが葬儀の費用や祭壇の値段を知らないということにあるのです。私たちはそうした「消費者の無知」の上にあぐらをかくことで、粗利50%という利益を出していたのです。」(P157)


 

これは、ほとんど詐欺でしょう・・・。

 

という例が載せられていますが、二重価格商法です。正規の定価の二倍の価格表を作って見せながら、そこから徐々に値引きしていくのです。

 

たとえば、定価50万の祭壇があれば、最初は100万円で提示し、「この病院からの紹介ですと20万値引けます」とか、「特別にこれくらいお勉強します」と言いながら、最終的には定価の「50万」まで値引きを繰り返していけるというわけです。

 

って、これ堂々といえるようなことかいな?と思ってしまいます。

 

ここに葬儀の特殊性を感じます。普通は価格を比較して商品やサービスを買うはずなのですが、ことに葬儀となるとそうではありません。完全に営業マンのいうがままです。これは葬儀が、会葬者の人数や、比較できるものが殆ど無い状態だからでしょう。他の家族や友人の葬儀と比べても、全く同じ状況の人はいないので、葬儀のグレードは皆違いがあります。それだけに、ダマされてしまうのです。

 

多くの人が喪主になるのは、人生の中でもそう多くはありません。気がついたら、高額なプランを勧められていても、それに気づくこともできません。しかも、この場合のように、二重価格を使われた日には、担当者を信頼するしかないわけなのですが、その信頼をコロッと裏切ってくれているわけですから、相当に悪質な手法だったと言えます。

 

後に、悪徳葬儀屋にだまされない方法でお話しますが、ここには、消費者の無知が関係しているわけですよね。

 

 

「葬儀社の葬儀マンは、鎌倉時代の「地頭」と同じで、転んでもけっしてただでは起きません。病院で紹介された遺体を自宅まで搬送して、これから葬儀の打ち合わせに入ろうとしたときに、すでに葬儀社が決まっているということがわかった時でも、「そうですか、それでは、病院からご自宅までの搬送料だけちょうだいいたします。」といい、5万円なり、6万円なりという金額を請求する業者もいるのです。この搬送料はだいたい10キロ以内なら15000円前後が相場です。しかし、そういうことも遺族の方は知らないことがほとんどなので、「5万円」といわれれば5万円、「6万円」といわれればそれが相場なのかと思って支払うのです。こういうところにも葬儀費用のからくりがあるというわけです。」(P167)


 

これは著者の経験ではありませんが、葬儀屋がどれほど、簡単に価格を操作するかを裏付ける実例を著者は示しています。私が調べたところ、搬送料金3万円くらいをとるところは普通に多いのですが、実際には1万5000円くらいだとか。これくらいが普通かと思うところで、すでにボッタクられているわけですから笑ってしまいます(笑えませんが)厚顔にも、5万、6万を搬送料だけで請求する業者もいると言います。

 

実際に、いくらを請求するかを聞かずに、搬送を頼んでしまうのもお客も悪いのですが、病院から紹介された業者なら悪質だとは普通思いません。気軽に頼むわけですが、かなりの罠となるわけです。

 

このように「定価」がわからないので、さまざまな価格が数倍ずつボッタクリが含まれていると考えても良いでしょう。それが普通のことになっているとしたら、これかなり怖いことですね。葬儀業者に対する不信感も確かに、根拠のあるものと言えそうです。

 

「葬式は、要らない」の島田氏は、日本人の葬式が高い理由の根源は「見栄」と「世間体」だと看破しています。とりわけ戒名やお布施に関して、「高い、高い」と嘆きながら、家の格をアピールする人を皮肉的に述べています。

 

 

まさに、葬儀マンは、そのお客様の「見栄」や「世間体」をついて、葬儀のグレードをあげるようです。考えてみると、葬儀のパンフレットには、必ず相当たくさんのプランが並んでいますね。また、オプションも。ここに秘密があるのです。

 

葬家の「見栄」につけこんで葬儀を高くする

 

「祭壇の大きさや棺桶の品質などをグレードを上げさせていくという語り口というのも、先輩のやり方を見ながら学んでいったのです。やはり故人の遺徳をほめたり家柄の家格を強調したり、会葬者の数の多さに驚いたりして虚栄心をくすぐり、同時に葬儀のあり方が故人への供養や孝行の気持ちのひとつの表れであるというふうに語っていくと見事にワンランク、ツーランクと葬儀のグレードがあがっていくのでした。」(P65)

 

「祭壇にしても、棺桶にしても、葬儀に関するものには、本当にピンからきりまで、さまざまなグレードがあるのです。・・・どうしてこんなにも料金の違いがあるのか。けっして、貧しい人でも利用できるように、低料金のものを設定したからということではありません。寿司屋に入って松竹梅の盛り合わせがメニューにあれば、なんとなく梅を頼むのも憚られるし、かといって松では気が引ける。と多くの方が竹を選ぶように、葬儀でもだいたいの人が真ん中のランクのものを選ぶのです。そのときに料金が細かく分かれていれば、私たち葬儀マンが上手に対応することでランクを一つでも、二つでもあげていくことができるのです。その意味で、さまざまなランクをつくっているのも、実にうまく消費者心理をついた葬儀費用を上乗せさせていくための「仕掛け」といえるかもしれません。」(P165)

 

「さまざまに工夫を凝らし葬儀のグレードを上げていくことが、葬儀社の社員としての腕で、結果的にそのことが故人の供養にもつながると信じていたのです。その意味で、当時はまだ、葬儀マンとしてがむしゃらに営業することになんら疑問を感じてはいませんでした。」(P69)


 

いやいや、葬儀の費用をあげても「故人の供養」にはならないだろう、どう考えたって、と思わず突っ込んでしまいます。

 

ともあれ、葬儀マンとしての著者のスタイルはともかく、葬儀のグレードを上げることに費やされていたというわけです。葬儀マンの口車に載せられると簡単に、ランクが上がっていき、思いのほか、高額な葬儀をあげることになってしまうというわけです。とくに、会葬者の数や、返礼品など、「恥をかきたくない、失敗したくない」と思うと人は多めに見積もるものです。また、故人の供養になる、気持ちを伝えるなど、非日常的な理由をつけることで、「こんな時だからしょうがない、ケチるなんて罰当たりだ」と、お財布の紐が大いに緩んでしまうことがありうるのです。

 

これは葬儀独特の状況と言えます。
死体の経済学の中でも、グレードを上げれば上げるほど、葬儀社が儲かることが指摘されています。原価にほとんど変わりは無いからです。

 

「この世界でグレードアップとは原価に比例しないというのが常識で、やり手の業者ならば100万円の葬式を200万円にグレードアップをしたとしても、中身はほぼ変わらず原価50万円。つまりグレードを上げてくれればそれはそのまま儲けにつながる」(P39)

 

 

 

このサイトで行っているように、しっかりと事前に決定できることは決めておかないと簡単に、葬儀業界の餌食になってしまうことがわかりますね。著者も、かなりの頭の切れる、また、コミュニケーション力の高い葬儀マンだったようですが、直葬オンリーで葬儀を行うという私のスタイルなら、葬儀費用を大きくすることは無理だろうなと思います。そうすると、通夜や告別式を行わない直葬スタイルは、やはり理想的だという思いを一層強くしました。(僕のお葬式-直葬の流れ

 

私もこのサイトを作ってから数多くの葬儀業者のパンフレットやチラシを見、HPなども調べるようになりましたが、直葬・シンプルな葬式、家族葬と決めていても、注意しておかねばならないことが一つだけあります。

 

それがオプション価格についてです。

 

オプション商法

 

「セット料金を安く設定することで遺族の方の目を引いて、後でそこにいろいろなオプションをプラスしていくというやり方は、じつに姑息です。たしかに別途オプション料金がかかることはパンフレットに書かれています。しかし、そこだけ小さな文字にしていたり、最初の契約段階ではさらっとしか説明しなかったりということが行われていたりします。実際に、私自身も、以前はそういうことをしていました。こうしたやり方は一般的な生活者の感覚から言ったら、まさにサギにあったような気持ちになるに違いありません。」(P188)

 

「遺族の方との葬儀の打ち合わせをする中で、私たちはできるだけ価格の高いものをすすめるようにしていきます。料理に関しても、より豪華な内容にしていけば、そのぶん料理屋さんからのバックマージンも増え、それが葬儀社の利益になっていくのです。」(P160)


これまで見てきた中でもっとも安いな!と思ったのは、5万円からの直葬プランでした。え〜安いなと思ったのですが、調べてみると、やはりオプションで価格を釣り上げていくようなスタイルでした。一概にそれが悪いとは言えないのですが、顧客にとって安心感のある買い物ではないのは明らかではないかと思います。

 

そのプランによれば、火葬場での火葬料金がまず含まれていませんでした(自治体によって違いがあるが、私の地区では2万〜前後でした)。また搬送料金なども別でした。病院から自宅、自宅から火葬場など、どうしても搬送は必要ですが、搬送は3万円となっていました。このように、スタンダードなプランで、対応できない場合は、徐々にオプションをつけていくわけですが、そうすると、結局は平均的な価格に落ち着いてしまうのではないかというのが私の意見です。

 

私は、直葬・火葬のみの最もシンプルなプランでも、15万円くらいは払っても良いのではないか(適正なのではないか)と考えています。(シンプルなお葬式は安いのか

 

どう思われますか?

 

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