【書評】冠婚葬祭でモメる100の理由(島田 裕巳)

【書評】冠婚葬祭でモメる100の理由(島田 裕巳)

冠婚葬祭でモメる100の理由 (文春新書)

 

第1章 冠(お宮参り、お食い初め、初節句、どれを最優先すべきか/里帰り出産の費用は親に甘えてもよいか ほか)/第2章 婚(上司からの見合い話をうまく断りたい/カジュアルお見合いの食事代は割り勘か ほか)/第3章 葬(直葬のやり方を知りたい/葬儀社による松竹梅コース、どれを選ぶべきか ほか)/第4章 祭(流行りの「お掃除風水」に根拠はあるか/不況につきお歳暮を中止したい場合 ほか)

 

「葬式は、要らない」などで有名な宗教学者の島田氏が、冠婚葬祭に関わる質問に答えていくというスタイルの一冊。興味深い質問も多いが、同時に、笑える質問、笑える解答も多いのです。もちろん、質問した本人は大真面目であり、島田氏もいたってまじめに答えているのだが、そのやりとりはまるでナンセンスギャグの世界になっています。真面目な顔しているだけに面白いってやつですね。

 

冠婚葬祭の儀礼・儀式・伝統は、長い期間をかけて作られた習俗ですが、この数十年は習俗が一気に変わる時代になっている。その変化の時代に、「やっぱりこれやっておかなきゃだめなのかな」と迷う現代人と、「何のためにそれをやっているんですか」と問いかける島田氏。このギャップが面白いのです。

 

とりわけ、このサイトでは、「葬」に関する項目がきになるわけですが、

 

島田氏曰く
「冠婚葬祭の中で、今もっとも揺れているのが「葬」にかんするしきたりです。いかに死を迎えるかからはじまって、葬式や墓のことなど、多くの人達が悩んでいます。」(P96)この本の中でも「葬」に関する部分は、特別な思い入れと語り口で質問者に答えているように感じます。

 

また、私もこの項目を一番興味をもって読みすすめました。

 

たとえば「葬儀社による松竹梅コース、どれを選ぶべきでしょうか?」という珍問には、島田氏は「迷うなら一番高い松を選ぶべきです。」「とバッサリ回答します。

 

 

「・・・迷うということは、一番高いものでも支払える経済的な余裕があるからに違いありません。世間体や見栄を考えているなら、一番豪華な祭壇を選んだほうが後で後悔することもないでしょう。・・・豪華な葬儀は,無駄には違いありません。しかし、人間はたんに倹約し、つましい生活を送るだけでは満足できず、どこかで散財したいという気持ちを持っています。葬儀で散財すれば、それで潤う人もいます。内需拡大の1つの方法かもしれません。」(P101)


その他にも、興味深い質問がてんこ盛りです。

  • 散骨で「千の風」になりたい
  • 香典返しが虚礼に思えてしょうがない
  • 自分の葬式に「ヘイ・ジュード」をかけたい
  • 供養する人がいなくなった骨を、お寺は捨ててよいか
  • ペットに遺産相続させたい
  • 先祖供養しないと祟られるか

その中のいくつかだけを抜粋し、このサイトの方向性の中で書評させていただきたいと思います。どの質問も考えさせるもので、ぜひ、本書を手にとって読んでいただきたと思いました。1ページ読み切り型なので、トイレ読書に向いています。気軽に読み進めるだけで、日本人の宗教観も習俗に対する感覚も鋭敏にできます。

 

注意点として、伝統や習俗に関するしきたりに、必ずこうすべき、あ〜すべきというものはありません。自分の固く守りたいものが何なのかをはっきりさせながら、今の時代に向き合っていくことを、島田氏は勧めたいのではないか?ドライな島田氏の回答の中に、込められた愛を感じたりしました。

 

「専門家は、自分の利益になるように、あるいは自分の主張を通すために、ある面だけをことさら強調するものです。私を含め、専門家は絶対ではありません。」(P207)

 

固そうに見えますが、ぱっと見の印象よりも、なかなかに面白いので、おすすめの一冊です。

 

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島田 裕巳

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