【書評】お父さん、「葬式はいらない」って言わないで

【書評】お父さん、「葬式はいらない」って言わないで

お父さん、「葬式はいらない」って言わないで (小学館101新書)

 

【目次】

序章 「悲しみに」うまくつきあえない時代
第1章 今、遺された人の「心」はどう扱われているか
第2章 「悲しみの儀式」はなぜ大切か
第3章 これからどんな葬儀をすればいいのか
第4章 どうやって支えればいいのか
終章 「死」は人のつながりを再生する

 

これまで数々の、葬儀関連本を読みましたが、

 

もっとも著者の心配りや温かさが伝わったのが本書です。

 

著者は、エンバーミング・グリーフケアの第一人者で、アメリカの葬儀大学で本格的に学んでこられた方です。葬儀不要論でも、葬儀肯定論でもなく、遺族の心を支えるための葬儀についてじっくりと語られています。著者の見聞は広く深く、また、遺族に向かう眼差しは優しく、心を癒される大切な一冊となりました。

 

著者のバランスのとれた論筆は、あとがきのこのような言葉からもわかります。

 

 

「お葬式で省ける部分があれば教えてほしい」「必ずやらなければならないことと、そうでないことを教えてほしい」などと遺族から聞かれて、非常に考えさせられた。

 

「葬儀とはそういうものじゃない」と決めつけることも、「だから葬式なんて要らない」と、すべて否定することにも違和感がある。遺された人の悲しみを受け止め、これからの人生を歩んでいく力をもらう、儀式としての葬儀をないがしろにしてはいけないからだ。」(P202)


葬式をどうする、こうする、ではなく、遺された遺族の「心」の問題を置き去りにして「終活」していたよ!と気付かされてしまいました。私の終活の取り組みを一変させる力をもった良書でした、文句なしに5つ星です。多少、偏りがあるかもしれませんが、私なりのグリーフケアについての考え方についても考察していけたらと思っています。

 

ヨシ・ノリハラの感想

 

私も、葬式をシンプルにしようと思ったきっかけは、島田氏の「葬式は、要らない」だったため、どうしても葬式仏教批判、費用が高額である葬式への批判で終わってしまい、遺族の心のケアとしての葬式を考えることができませんでした。この本を読んで初めて、気付かされた視点といっても過言ではありません。

 

やみくもな葬式不要論、簡素論の影響もあり、遺族の死を受け止め、消化できないまま日々を過ごしている人は多くなっているようです。そもそも、グリーフケアはまだ日本では、十分な認知度を得ていません。宗教心が少なくなっている社会で、この面を担うのはある部分葬儀社ですが、まだ日本の葬儀社はこのレベルには到達していないように思えます。

 

遺族の心を癒やす「悲しみの儀式」ととらえたときに、葬儀には小さくない意味があります。無縁社会、格安パッケージの葬儀社が横行する中で、それをどのように実現していくのかというのは社会が抱える1つの課題なのかもしれませんね。


 

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